琴奨菊の引退と大関の神性について思うこと

琴奨菊の引退と大関の神性について思うことアイキャッチ 大相撲観戦日記

相撲と紅茶とゲームが大好きな
ペパーミントあいです。

琴奨菊が2020(令和2)年11月場所7日目に
引退しました。

現役時代の素晴らしい功績と
自分らしい生き方を心から称えたい一方で、
大関の神性についても考えてしまいました。

北の富士さんのコラムには
反感を覚える一方、
どこかで正しいと感じている自分もいます。

でもやっぱり本人の意思を尊重したいです。

元大関 琴奨菊引退のニュース

2020(令和2)年十一月場所7日目。

朝から激震が走る出来事がありました。

【元大関 琴奨菊引退】

の、ニュースです。

本人の口からの正式な発表ではないものの、
関係者筋から引退の意向が伝えられ、
後日正式発表するとのこと。

引退後は年寄・秀ノ山を襲名し、
後進の指導に当たると思われます。

正式発表ではないとはいえ、
この日琴奨菊は土俵に上がることは
なかったので、

週刊誌の変なデマ情報ではなく
ちゃんとした筋からの情報であることは
間違いありません。

十両に落ちても現役を続行

琴奨菊は大関から陥落後も
長く幕内を務めました。

平幕に落ちてからも長く

「大関からは落ちたけど、
やっぱり琴奨菊は強いなぁ」

と思わせる相撲を取り続けてきました。

下から上がってくる若手の壁として
長く立ちはだかってきました。

今は幕内に元大関が3人もいるので
下から上がってくる人は
本当に大変だと思います><

ただそんな中でも、
最近の琴奨菊は番付を徐々に落とし、
正直、そろそろ引退も近いかな?

と思うこともしばしばありました。

(言うのははばかれるので
言わなかったけど)

そんな中、
先場所は大きな怪我をして途中休場。

再出場するも、
十分な体勢になっても
得意のガブリ寄りが出来ない。

足が前に送れなくて敗れる。

そんな相撲が続き、
とうとう長年守ってきた
幕内の地位から陥落
することになりました。

十両陥落確定と同時に引退、
というパターンも想像出来ました。

でも琴奨菊は現役を続行。

大関経験者が十両で相撲を取るのは5例目
前代未聞の事態ではありません。

でも「元大関が十両で取るなんて……」と
陰口をたたく人は絶対いるし、

本人としても屈辱的な思いは
あったかと思います。

でも引退するのは今ではないと思い、
現役続行を決意。

今場所は怪我をした先場所と比べたら
相撲が取れていると思いました^^

白星も1つあげました。

でも先場所ほどではないものの、
足が前に出なくて力なく敗れる相撲が
多くありました。

そんな中での引退のニュースでした。

驚かなかったけどずしっとはきた

琴奨菊引退のニュースを聞いた時、
私は薄々覚悟はしていたので、
驚きはしませんでした。

ただ寂しくはありました。

ここ最近、稀勢の里、豪栄道、栃煌山と
花の昭和62年組の引退が
続いていますからね。

琴奨菊は昭和59(1984)年生まれですが、
近い年代です。

そりゃ寂しいですよー><

一時代を築いて
大相撲を盛り上げてきた
人たちですからねぇ。。。

ちなみに琴奨菊は
引退の時点で関取最年長です。

琴奨菊引退後は
同学年の松鳳山が
関取最年長になります。

その松鳳山も現在は十両です。

驚きはしなかったけど、
いざその瞬間が来ると
それなりに心にずしーっとくるものは
ありますよ。

今はただ、
お疲れ様でございますという気持ちで
いっぱいですが。

琴奨菊が相撲界に残した功績

琴奨菊が相撲で残してきた功績には
数えきれないものがあります。

一番大きいのは、
「約10年ぶりの日本出身力士の優勝」
ですかね?

あの時は日本中が
大いに盛り上がりましたね^0^

あまりにも長いこと
日本出身力士の優勝がなかったものだから、
相撲ファンの間では

「あんまり日本人日本人っていうの
やめようよ、
外国出身の力士が可哀想じゃないか」

という変なタブー視みたいな空気も
ありましたが、

琴奨菊が優勝後は豪栄道も優勝し、
何かが解禁されたように
日本出身力士がふつうに
優勝するようになりました。

変なタブー視の空気は
すっかりなくなったように思えます^^

「ひよの山数え歌」
提案したのも琴奨菊だし、

名門佐渡ヶ嶽部屋を長きに渡って
引っ張ってきた
のも琴奨菊でした。

かつて琴奨菊の付け人を務めた
現在幕内の琴恵光は、
琴奨菊にこんな感謝の言葉を
述べています。

琴奨菊が優勝したとき、
琴奨菊は優勝できた理由の一つとして

「いいトレーナーをつけて
そのトレーニング内容が
自分に合っていた」

とインタビューで話していました。

琴恵光は琴奨菊と一緒に
そのトレーニングを行い、
自分も強くなって関取に
復帰したんですよね。

琴奨菊が琴恵光を引き上げてくれる
存在であったことは間違いありません。

問われる大関の「神性」

ただ一方で、
今このタイミングでの琴奨菊の引退に対し
ネガティブなことを言う人もいます。

北の富士さんは琴奨菊引退の
報道が流れた日のコラムで、

「琴奨菊は十両に落ちた時点で
引退するべきだった」

と書いていました。

実際の文章は攻撃的なものではなく、
琴奨菊の素晴らしい功績にも触れ、
本人の意思も尊重したうえで
「でもやっぱりさぁ……」
という感じのものでした。

北の富士さんのコラムを見たときは、
ちょっと悲しくなりました。

反感も覚えました。

でも、分からない話ではありません。

どこかでその通りだと思っている
自分もいます。

大関は横綱ほどではないものの、
それなりに「神性」のある地位ですからね。

今は横綱が最高位だけど、
元々の大相撲は大関が最高位だったので、
相撲の世界では大関というのは
凄く大切に思われています。

神聖な大切な地位だから
伝達式もあります。

だからその大関になった人が
十両で取るなんて、
まして負けるなんて、
という気持ちも分かる
のです。

でも横綱とは違い、
落ちることが許されるのも大関。

落ちることが許されるのなら
納得いくまで続けてほしい
とも思います。

どちらかというと、
後者であってほしいと思っています。

ただ北の富士さんのような考えが
なくなってしまっては、
それはそれで大相撲の根幹を
揺るがせてしまうとも感じます。

大関って、
何とも独特なポジションですね。

秀ノ山親方の活躍が楽しみです

そんなわけで、
決して「潔い」とは言い難いけれど、
最後の最後まで自身の限界に挑戦し続けた
琴奨菊らしい引退
であったと思います。

琴奨菊には自身が大関から落ちたときに
稀勢の里が横綱に昇進し、
一門の関取として綱打ちに参加するという、
屈辱的としか思えないような経験も
ありました。

でも嫌な顔一つせず、
むしろ意欲的に他の関取や
若い衆たちを引っ張っていたと聞きます。

(この日の親方チャンネルで、
元稀勢の里の荒磯親方が話していたそうです)

思えば稀勢の里とは
どこまでも対照的な人でした。

稀勢の里は横綱になったけど短命に終わり、
琴奨菊は大関から落ちたけど
どこまでも自分が納得いくまで
相撲を取り続けました。

私たちファンは
勝手に稀勢の里と比べて
どうこう言ってしまいます。

でも琴奨菊本人にとっては、
ひたすら自分の高みを目指すことが大事で
人と比べたり嫉妬することとは
縁のない人なのだろう
と想像します。

独特の言い回しも多い人なので、
指導者としても大成するんじゃないかと
思います。

琴恵光を幕内まで引き上げ、
佐渡ヶ嶽部屋全体を引っ張る姿から
それは想像できます。

これからは指導者としての
秀ノ山親方を楽しみにしたいと思います!

あと解説も(笑)

先に引退した稀勢の里、豪栄道、栃煌山の
誰の弟子が早く上がってくるか、
見るのが楽しみです!

まだ正式な記者発表前で、
少し気が早いのですが;;

以上、
ペパーミントあいがお届けいたしました。