ペパーミントあいです。
中村親方(元嘉風)が地元佐伯市を訴えた
「やむを得ない理由」を、
相撲記者の抜井規泰さんが
ツイッターで解説していました。
とてもいい内容のツイートだったので、
私のブログにも掲載したいと思います。
リツイートで拡散しても
すぐ流れてしまうのが
ツイッターの弱点なので、
検索出来るようブログにもUPします。
ワイドショーは無知で無責任な
コメンテーターの言葉より、
このツイート内容こそ人々に
知らしめるべきだと思います。
泣き寝入りしなければ裁判になるのが普通
行政を相手に損害賠償を求める場合、
裁判に発展するのは
ごくふつうのことのようです。
理由は以下、
抜井記者のツイートを
読んでいただければ分かります。
元関脇嘉風の中村親方が地元・大分県佐伯市を訴えた損害賠償請求の続報。
佐伯市側は、けがを負った「キャニオリング」は、親方側からの強い要請があった、として争う方針。この話、続けます。
被告の佐伯市は争う姿勢「渓流下りは嘉風関の強い要請」:朝日新聞デジタル https://t.co/e8Rc2mPDjL
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
行政を相手に損害賠償を求める場合、中村親方のように訴訟に発展するのは、ごく当たり前のことです。行政に対して賠償を求める側が、この言葉が適切かどうかはともかく「泣き寝入り」をするつもりがないなら、訴訟にならざるを得ません。
中村親方は、決して特殊ケースではありません。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
「応援してくれた地元を訴えた中村親方」
に対して疑問視するようなツイートほか、様々な声も聞きます。
5億円近い請求額をもって「驚く」意見もあります。
しかし相手が行政の場合、「泣き寝入り」しないなら訴訟に発展することは当然で、金額も、「イコール勝訴した時の受領金額」でもありません。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
まず、なぜ、訴訟に発展したのか。
民事訴訟は原告からの提訴の前に、ほとんどの場合、当事者同士で話し合いが持たれます。中村親方の場合も、話し合いが持たれたことが明らかになっています。
しかし、行政の職員や首長の謝罪を求めるのではなく、金銭補償を求める場合、訴訟にならざるを得ません。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
というのも、行政は税金で運営しているので、職員や首長が賠償責任を認めて、賠償額を計算し、勝手に予算を執行して相手に支払うことができないからです。行政の予算は全て、議会の承認を得て執行されています。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
佐伯市が、中村親方への加害を認め、それを議会に報告し、損害賠償を行うことが議会で可決されれば、訴訟は回避できます。しかし、その賠償額の算出には根拠が必要です。今回のケースは、裁判で争うことで裁判所に賠償の必要の有無を判断させ、賠償が必要な場合はその金額算出を委ねたのが、今回です。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
ですので、まず、「訴訟に発展したこと」に対して中村親方を疑問視する人たちは、
「泣き寝入りしろ」
といっているようなものです。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
ここまで読んでいただければ、
市は税金で運営しているため、
賠償金をもらうには
裁判で金額を算出しないといけない
ことが分かります。
民事裁判はどちらにとっても辛いもの
続きのツイートで、
民事裁判は原告、被告どちらにとっても
非常にしんどいものであることが分かります。
これは、佐伯市側もつらかったと思います。
佐伯市側に一定の責任がある場合、できることであれば、中村親方を満足させるだけの賠償金を支払いたかったはずです。しかし、勝手に責任を認め、勝手にお金を支払えないことは、前述の通りです。
こうなると、裁判にならざるを得ない。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
「江戸の大関より、クニの三段目」
という角界の格言があります。江戸の大関より、おらが町の三段目力士の方が人気がある。
九州場所での、かつては魁皇。いまなら琴奨菊や松鳳山の人気は、絶大です。
中村親方は元関脇。郷土の英雄です。英雄を相手に裁判せざるを得ない佐伯市も、つらいはずです。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
ただ、民事裁判は「消耗戦」です。
新聞記者という仕事柄、これまでにいくつもの民事裁判と濃密に付き合ってきました。民事訴訟というのは、原告・被告双方とも、疲れ果てるんです。
何に疲れるって、まず、経済面。そして、精神面と肉体面で。
多くの民事訴訟の当事者は、数年でボロボロになります。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
こう言っては語弊があるかもしれませんが、あえて言うなら、民事裁判をやって潤うのは弁護士だけです。
社会的な大問題に対して、手弁当で闘ってくれる弁護士はいます。何十例も見てきました。しかし、一般の民事訴訟で、時給1万円以下で動いてくれる有能弁護士は、まずいません。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
知りうる最高時給では、「タイムチャージ5万円」というケースを見たことがあります。この費用が、相談時、文書作成時などに、どんどん加算されていきます。
この弁護士費用の負担に、へこたれてしまうのです。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
裁判は、勝てば相手が全額を費用負担する--と勘違いしている方がいます。
たしかに、「訴訟費用は敗訴側の負担」とする判決が出ます。しかしこれは、裁判で必要だった印紙代を支払え、という意味であって、訴訟にかかった弁護士費用を出してもらえるわけではありません。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
著名な弁護士を雇えば、あるいは弁護団を雇えば、その費用はすべて、「自分持ち」です。
この経済的な負担に、へこたれてしまうのです。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
また、裁判所での丁々発止は、訴訟における氷山の一角です。水面下では、膨大な書面のやり取りが続いています。その書面作製で、訴訟相手への憎悪を保ち続けなければなりません。自分に有利なことを申し立て続け、相手が示す反対意見をことごとく潰していく。このやり取りに、疲れ果てるのです。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
人間は、良くも悪くも、憎悪の感情が時間とともに薄れていきます。
全然、話が違いますが、人間そっくりのアンドロイドが同級生になってしまったら、人間は困ると思いますよ。自分への憎悪も、誰かの失敗も、すべて克明に記憶し、忘れないのですから。そのアンドロイドに感情を与えたら……。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
訴訟を続ける中で、多くの人たちが、経済的に、肉体的に、精神的に、疲れ果てていきます。
そのタイミングで、裁判所が「和解案」を示します。
多くのケースで、原告・被告とも、その和解を飲み、本件訴訟は終了、となります。しかし、行政相手の訴訟は、違います。
疲れるのは、原告側だけです。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
行政を相手に、一人の個人が民事提訴した場合。
原告側は、弁護士費用も何もかも、自己負担。対する行政側は、税金から出ますので、だれかの懐が痛むわけではない。
原告側がどれだけ精神的・肉体的に疲れ果てても、行政側は誰かがヘトヘトになるわけではない。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
佐伯市にとっても辛い訴訟である
ここまで読んでいただければ、
佐伯市にとっても
辛い訴訟であることが分かります。
相撲ファンなら
みんな知っていることですが、
九州場所での九州出身力士への声援は
凄まじいです。
応援の仕方がちょっと品がないから
黙れと言いたくなるくらい凄まじいです。
でもそれくらい、
地元の人たちにとって
ご当地力士は愛すべき存在なのです。
それがこのような訴訟沙汰になって、
どちらにとっても
辛くないはずがありません。
金銭面と精神面の負担が大きい
そして民事裁判は
金銭面と精神面の負担が
大きいことが分かります。
裁判で勝っても
莫大な弁護士費用を
負けた側が払ってくれるわけでは
ありません。
裁判で争う限り、
ずっと相手を憎み続けなければ
いけないというのは、
非常に精神が病むことであると
想像出来ます。
中村親方側のダメージが大きくなる可能性大
さらにポイントをおさらいすると、
本件に関しては中村親方のダメージが
大きくなることが想像できます。
市の方はお金は税金で賄い、
誰か個人が訴えられているわけでは
ないですからね。
ワイドショーでは
「お金のために地元を訴えた
心の狭い中村親方」
という批判をするコメンテーターも
いるようですが、
このような無知無責任なコメントも
中村親方の精神的負担にならないか、
心配です。
5億円近い請求金額について
そして5億円近い請求金額については、
このように述べられています。
次に、5億円近い請求金額ですが。
最初に触れた通り、その金額の支払が認められたわけではない。この請求額を元に、行政に責任があったのか、なかったのか。賠償金を支払う場合、中村親方が負った損害はいくらか。その損害に対する行政側の過失割合がどれほどか、算定しなければなりません。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
判決で示された賠償金額で驚くならともかく、「請求金額」で驚いて、それをもって中村親方の行動を疑問視するというのは、「理性的な行動」とは言えないのではないでしょうか。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
むしろ私は、これから中村親方を待ち受ける苦難の数年を思うと、とてもつらい。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
先ほども書いた通り、「泣き寝入り」しないのであれば、この訴訟は、回避できない。
刑事も民事も「事件」というのだが、そんな事件に巻き込まれてしまった中村親方。そして、地元と戦い続けることになる中村親方。さらに、判決を待たなければ賠償もできない佐伯市。郷土の英雄と戦い続ける佐伯市……
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
だれにとっても、本当につらい事故だったと、心の底から思う。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
金額の根拠については、
引用元の記事に
損害賠償請求額は約4億8100万円で、中村親方が40歳まで現役を続けた場合に得られたはずの収入、休業損害、後遺障害の補償、逸失利益、慰謝料が含まれるという。
とあります。
冷静に考えて、
この金額は弁護士が出したものでしょうから
中村親方を叩くのは筋違いですよね。
この金額を根拠に、
さらに裁判所が精査して
損害賠償金額を決めます。
そのための裁判ですからね。
金額に関しては
素人である中村親方を
叩くのは論外だし、
法律に精通していない素人が
とやかく批判するのも
筋違いというものです。
裁判の争点は「佐伯市側の責任」
抜井規泰記者は別ツイートで、
本裁判の争点について
こうつぶやいています。
以下は、今後の裁判がどのように展開していくのか、という予測です。
最大の争点は、中村親方のケガが、佐伯市側の責任によって引き起こされたのかどうか、です。
その事実認定は、
・佐伯市側が中村親方にキャニオリング体験を求めたかどうか
が出発点になるはずです。
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
「稽古があるから」「体調が悪いから」などといった理由で中村親方が固辞し続けたのに、市の職員らがキャニオリングの体験を強く要請した、といった場合。
その事実を証明、あるいは疎明できれば、佐伯市側に一定の責任があったことを示すことができます。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
地元での合宿中のイベントに対して、お相撲さんが一つ一つの行事への出演協力で文書を取り交わすことは、まずないでしょう。
あうんの呼吸で、キャニオリングに行ったのではないでしょうか。
それが、行政側の依頼によるものなのか、中村親方の個人の責任による行動なのかが争われるはずです。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
お相撲さんが自分の体重を考えれば、おのずと危険を察知できたはずーーといったコメントも見聞きしました。
危険が察知できるか否かは、そのキャニオリングがお金を取っている「事業」なのか、自然の渓谷の中で自己責任で行う危険行動の一つなのかも、争点になるのではないでしょうか。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
キャニオリングがお金を取っているアトラクションであれば、施設側が安全基準を設けるべきではないでしょうか。
中村親方が負傷したキャニオリングが、佐伯市観光協会のホームページに載っているものであるなら、大人1人8000円を徴収するアトラクションのようですが…https://t.co/ixGe4isOKF
— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
中村親方のことは個人的にも知っているつもりですが、とてもカラッとした、アメリカで言う、いわゆる「ナイスガイ」です。
その中村親方が訴訟に踏み切るのですから、よほどのことだったのでしょう。— 抜井規泰 (@nezumi32) October 21, 2020
まとめると
佐伯市が中村親方にキャニオリング体験を求めたかどうか
キャニオリングがお金を取っている事業であるかどうか
が争点となるようですね。
佐伯市のHPを見る限り、
大人1人8000円の事業であるようです。
とあるワイドショーでは
「危険行為を行なった自分が悪い。
プロ失格」
という批判をしている
コメンテーターもいたようですが、
有料で行なっている事業なら
この批判は的外れと言えそうです。
双方に幸せな結末をただただ祈る
以上、中村親方が佐伯市を提訴した件
についての抜井規泰記者のツイートを
まとめさせていただきました。
とても専門性の高い内容で
勉強になりました。
ワイドショーは無知で無責任な
コメンテーターのコメントより、
こういうちゃんとした知識を
人々に広めるべきだと思います。
これはどちらが悪いという話ではなく、
どちらにとっても
不幸な事故だったのですから。
そのことを一人でも多くの人に
分かってもらいたいと思い、
こうしてブログに書かせていただきました。
今はただ、
佐伯市にとっても中村親方にとっても
幸せな結末となることを祈るばかりです。
裁判所が然るべき判決を下す形であれ、
和解が成立する形であれ、
これ以上誰も辛い思いをすることなく
幸せな結末を迎えてほしいです。
そうなることを信じて、
今はただ、祈ろうと思います。
ペパーミントあいがお届けいたしました。