横審の両横綱への「注意勧告」に、
少しは納得してるけど多くは納得できない
ペパーミントあいです。
多くは納得できない理由は、
昨日更新した下記記事にて
語っています。
横審の白鵬、鶴竜への「注意」勧告には
相撲ファン以外からも
大きな反響があったようです。
脳科学者の茂木健一郎さんが
横審を批判するニュース記事が
上がっていました。
要約すると
①精神論・印象論に偏り、医学的根拠がない
②稀勢の里との温度差
③相撲へのリスペクトがない
ということかと思います。
以下に、茂木先生の見解に対する
相撲ファンとしての私の意見を
述べさせていただきます。
①精神論・印象論に偏り、医学的根拠がない
まずは一つ目の
「精神論・印象論に偏り、
医学的根拠がない」ことについて。
横審は「休場が多いこと」を理由に
両横綱に「注意」勧告を出しました。
これに対する茂木先生の反論は、
要約すると
「サボって休場しているというのなら
医学的根拠を出すべき」
とのこと。
これに関しては少々誤解というか、
相撲に詳しくない方のご意見と感じます。
相撲の世界は例え怪我であっても
休場することは良くないとされる
世界だからです。
以下に怪我でも休場がよしとされない理由を
述べさせていただきます。
相撲は「根性論」の世界
相撲の世界は「根性論」の世界です。
相撲ファンであれば、
北の富士さんを見ていれば
とてもよく分かると思います。
11月場所中も度々コラムで
根性論を言いまくってましたからね。
以下のような根性論も言ってましたよね。
「栃ノ海関は骨折しても出場して
白星を挙げていたんだぞ!
痛いなんて休場の理由になるか!」
栃ノ海は柏鵬時代の横綱です。
いやそれをふつうだと思わないでよ、
って感じですよね。。。
ただ大相撲の世界は、
上記のような暴論が長年まかり通ってきた
世界であることは事実です。
いい悪いは別にして、
「痛くても根性で出てこれない奴は
横綱に相応しくない」
という理由が成立する世界なのです。
(昔ほどではないにせよ)
相撲は「怪我する方が悪い」の世界
相撲の世界で休場することが
良しとされない理由は、
他にもあります。
映画「相撲道」の中で、
高田川親方(元安芸乃島)は
怪我をした弟子に対しては
「怪我をするのは
体の使い方が間違っている証拠だ」
と教えていると話していました。
だから
「怪我をしたことは
“体の使い方が間違っているから
直しなさい”という
神様からのメッセージなんだよ」
と伝えているとのこと。
こちらは先の根性論と違い、
必ずしも怪我が休場の理由にならない
わけではありません。
でも怪我を治すと同時に
体の使い方も直し、
二度と怪我をしないように
しないといけないということになります。
これを今の両横綱と横審に当てはめるなら、
休場が多い=体の使い方を直せていない、
ということになりますね。
よって、
横綱に相応しくない」
という理論が成立してしまうのです。
一般の会社員だって
気を付けててもうっかり
風邪をひいてしまうことはあります。
その時は会社を休む権利があります。
でもあまりにも風邪をひく頻度が高ければ
「体調管理に問題があるんじゃないの?」
と注意を受けても仕方がありません。
それと一緒ですね。
さすがに今の親方衆に
前者の北の富士さんの根性論を
まんま弟子に押し付ける人は
少ないと思います。
(いないとは言い切れません)
でも後者の理由で今の両横綱に対し
快く思っていない親方衆は
それなりにいるものと想像出来ます。
(芝田山親方、春日野親方、武蔵川親方
あたりはそれを感じます)
長年のダメージの蓄積となると、もっと深刻
今の両横綱の休場が多い理由、
つまり怪我の多い理由は、
「長年のダメージの蓄積」であるとも
言えるかと思います。
白鵬も鶴竜も35歳ですからね。
横綱というアスリートとして
長く体を酷使してきたことを思えば、
どれだけケアに気を付けていても
怪我を防ぎきることは難しくなってきます。
ただそれでも、
横綱の場合は人より多く休んでいい
正当な理由にはなりません。
=回復が難しい
=横綱としての責務は果たせない
という見立てが成立してしまうからです。
一般的な言い方をすれば
「体がアスリートとしての限界」
ということになります。
体がアスリートとしての限界を
迎えていると見なされた横綱に、
横審が勧告を突き付けるのは
当然と言えるのです。
横綱は落ちることが「許されない」
厳しいけど、
横綱とはそういう地位なのです。
番付が落ちないということは、
落ちることが許されないということです。
落ちることが許されないということは、
いつまでもその地位に相応しい存在で
いないといけないということ。
=相応しい存在でなくなったら
引退しなければならないのです。
私も出来ることなら
どの横綱にも自身が納得できる形で
引退してほしいと思います。
でも相撲の最も大切な伝統の一つである
横綱という地位を汚さないでほしいとも
思っています。
それでも医学的エビデンスの導入には賛成
よって茂木先生のおっしゃる
「サボっているかどうか」は
問題ではないのです。
サボっているかどうかを証明することには
意味がありません。
横綱がサボっている、いないに関わらず、
休場が多いことは勧告を出される
立派な理由なのです。
それでも私は、
茂木先生のおっしゃる医学的エビデンスを
横審に導入してもらうことには賛成です。
理由は横審が勧告を出す判断材料が増えて、
よりファンが納得のいく勧告なり批判に
繋げることが出来ると思われるからです。
例えば「全治2ヶ月」と診断された怪我が
1ヶ月で驚異的な回復を見せた場合、
「この横綱は体調管理がとても出来ている。
まだ限界ではないのではないか?」
という判断をすることが出来ます。
この場合、ファンが
「あんなに休場しているのに
なんで横審は勧告を出さないんだ?」
と思っていても、
横審はこの医学的エビデンスを元に
勧告を伸ばした理由を説明できます。
逆に診断書の全治期間を過ぎても
治らないようであれば、
「体の衰えによる限界」
と判断する根拠になります。
単純に休場が多いという理由だけで
勧告を出すより、
よほど説得力が増します。
何より医学的エビデンスを
用意するためには
横審も横綱の治療状況を視察したり
情報を得なければならなくなります。
結果、今のように
外面的な情報だけで判断することは
出来なくなります。
これはとても大事なことだと思います。
②稀勢の里との温度差
そして茂木先生が横審を批判する
2番目の理由。
稀勢の里との温度差は、
相撲ファンとしては言わずもがなです。
過去の横審委員には
差別的と思える言動も多くありました。
今回の両横綱への注意勧告は、
それ自体が差別とは思わないけど、
稀勢の里への「激励」勧告と比べると
温度差を感じます。
どう温度差があるかについては、
昨日私が書いたブログを読んでいただければ
お分かりになるかと思います。
茂木先生のおっしゃってることと
ほぼ一緒ですが、
少しだけ詳しく書いてありますので。
……ちなみに、余談ですが。
稀勢の里への対応との温度差について
言うと「稀勢の里を批判するな―!」と
怒ってくる人いるんですけど、
私が批判しているのは稀勢の里ではなく、
あくまでもえこひいきをする横審です。
過去に正式な勧告が出された例は
稀勢の里、白鵬、鶴竜しかいません。
それを考えれば、
比較対象になるのは仕方ないと思います。
※朝青龍への「引退勧告」は、
成績や休場によるものではなく
暴力事件によるものなので、除きます。
③相撲へのリスペクトがない
横審委員が本当に相撲が好きな人たちなのか疑わしい
そして相撲ファンが今の横審に対し、
不信感を抱かざるを得ない一番の理由が、
これではないでしょうか。
今の横審委員の方々からは、
相撲へのリスペクトを感じられないのです。
横審委員は規定で
「好角家による有識者」
とされています。
でも今の横審委員を見ていると、
はたしてその条件に該当しているのか
疑わしいです。
毎場所後の定例会の会見を見て、
「この人たち本当に相撲好きなのかな?」
「毎日相撲観てるのかな?」
と疑いたくなることが多々あります。
時々テレビで相撲を観て、
時々新聞で結果をチェックして、
「最近はモンゴルばっかで
日本人がいないからつまんねーな」
って言ってるそこいらの
おじさんレベルと思えてならないのです。
現に前横審委員長の守屋氏は、
自身のブログで
推薦されたから横審委員になった」
言われて委員長になった」
って書いてますからねww
そんな人たちに審議されるんじゃ
今の横綱はたまったものじゃないですよね。
勧告の根拠が薄っぺらい
休場が多いことは
勧告を受ける立派な理由であると
私は思っています。
理由は前述した通りです。
でも横審の定例会見で、
上記のような説明はありませんでした。
ただ「休場が多いから奮起を促した」
と言うだけでした。
はたして私が前述したことを
踏まえた上で今回の勧告を出したのかは、
疑問に思います。
相撲へのリスペクトのなさを露呈し続けた横審
ファンから不満の声が多いのは、
ひとえに勧告を出した横審から
相撲へのリスペクトを感じないから
ではないでしょうか?
相撲へのリスペクトを感じる
横審委員が出した同様の勧告であれば、
ファンは辛くても納得はすると思います。
実際、横審はちゃんと
勧告の理由を説明しているし、
経緯だって説明しているんです。
「休場が多いこと」
「若い大関の壁になる責任が
果たせていないこと」
「同時不在が多いこと」
稀勢の里への「激励」勧告との差についても
ちゃんと説明はしているんです。
でもなんか納得できなくて
文句を言いたくなってしまう。
それはこれまでの横審委員たちが
相撲へのリスペクトがないことを
ファンの前で度々露呈し続けたからです。
リスペクトがないことを
すっかり印象付けたため、
完全に信頼を失っているのです。
これだけは間違いありません。
それでも一縷の光に期待したい
そんなわけで、
茂木先生が言及するまでもなく、
今の横審は非常に残念な組織です。
茂木先生の見解が
非常に整理されているだけに、
私自身も考えを整理することが
出来ました。
考えを整理したことによって、
今の横審のどこにどう
モヤモヤしていたのか、
確認することが出来ました。
ただそれでも、
一縷の光と思えることはあります。
それは今回の勧告の根拠となった
「休場の多さ」について、
ちゃんと過去2年分のデータを
提示したことです。
結果、稀勢の里への対応が
いかに甘かったか自ら証明する形には
なりました。
そのことに対する言い訳は、
非常に無理のあるものではありました。
でも今までは
「鶴竜なんて話題にもならなかった」とか
非常に雑なコメントが多かったんです。
この雑さぶりを思えば、
稀勢の里への対応の差に対する言い訳以外は
マシになったと言えます。
たくさんファンから批判を受けて、
少しは改善する意思は
あるものと想像します。
それでもまだ根拠づけが甘いとは思います。
でも理由をちゃんと丁寧に
説明しようという気持ちは感じました。
今の横審のお先生方には、
今からでもいいから少しずつ
相撲のことを学び、
相撲へのリスペクトを養って
いただきたいです。
感情としての好き嫌いは
どうしようもないことかもしれません。
でも努力することで、
愛着を育てることは出来ます。
要人を警護するSPの方々は
いざという時にその人を
命がけで守れるよう、
依頼人を好きになる努力をするそうです。
依頼人の書いた著書を読むなどして、
好きになる努力をするそうです。
いくら仕事でも、
嫌いな人のために命を懸けることは
出来ないからです。
横審委員の方々も無給とはいえ、
権威ある地位にあるのですから、
相撲を好きになる努力はしてほしいです。
そうすれば、
ファンからの信頼を少しずつでも
得られるようになると思います。
横審は横綱を批判するプロなんだから、
プロ根性見せろ!
横綱も横審も相撲ファンも
全てあっての大相撲なのですから、
これらが対立してしまうのは
悲しいことです。
対立はこれからの相撲界を
より良くするためのものであってほしいし、
対立しても最終的には
調和してほしいと願っています。
以上、
ペパーミントあいがお届けいたしました。