スコゲワブロガーのペパーミントあいです。
「相撲界で付け人への
暴力がなくならないのは、
付け人の給料が安すぎるせいだ」
という産経新聞のコラムがありました。
ライターの言葉選びから、
相撲を知らない人が書いた記事では
あるようですが、
一理あると感じる部分もありました。
このコラムの賛同出来た点、
言葉選びがまずいと感じた点を
まとめてみました。
産経新聞の付け人に関するコラム
問題のコラムはこちらです。
「付け人」に暴力 相撲界小間使い意識脈々と
12/11(火) 12:40配信 産経新聞今さらそれを言われても…。関取衆はほとんど皆がそう思うのではないだろうか。
大相撲でまたも起きた暴力問題。冬巡業先で付け人に暴力を振るった責任を取り、元幕内貴ノ岩(28)=千賀ノ浦部屋=が引退した。日本相撲協会は各部屋の師匠全員を通して全関取に付け人についての緊急指導を行う。19日に関取対象の特別研修を東京都墨田区の両国国技館で実施する。協会側は「付け人は関取の小間使いではない」ことを認識させ、「絶対に暴力を振るってはならず、互いに感謝の気持ちをもって接する」ことを求めるという。
「絶対に暴力を振るってはならず…」というのは何も相撲界だけの問題ではなく、一般社会でも暴力は排除されるべきで当然の話。しかし、古くから脈々と流れる相撲界の慣習の中で今さら「付け人は小間使いではない」と言われても、関取衆は今後の対応に戸惑うのではないか。
相撲の世界は番付の世界だ。裸一貫で自分の力だけでのし上がった力士がお金も名誉も与えられる。大相撲ファンも出自も人脈も関係ない、力だけがモノを言う世界だからこそ魅入られる。当然ながら出世によって懐具合も変わる。給与(月給)体系を見れば一目瞭然。横綱は282万円で大関は約235万円、三役は約170万円、幕内は約130万円、十両は約103万円。幕下以下には給与は支払われない。本場所ごとに場所手当(主に交通費)の15万円から7万円が支払われるだけだ。
今回の暴力問題で殴られた貴大将(23)=千賀ノ浦部屋=は三段目。九州場所では1勝6敗と大きく負け越したが、場所手当は10万5千円だった。当然、普通に生活していても足りるわけがなく、兄弟子の貴ノ岩から小遣いももらっていただろうし、兄弟子がスポンサーから接待を受ける際には末席でご相伴にあずかってもいただろう。付け人は経済的に自立できない。部屋の親方や兄弟子に食べさせてもらっている感が強い。逆に言えば、兄弟子は付け人の全ての面倒を見ている感覚に陥るのも当然だ。
貴ノ岩が貴大将を殴った理由は自分自身の忘れ物だ。いわば自分のポカを棚に上げて、付け人を殴った。意識の根底には「あれだけ世話をしてやっているのに…」という感情があるだろう。
貴ノ岩は加害者の前は被害者だった。昨年の秋巡業中、元横綱日馬富士から鳥取市内のカラオケルームで暴行を受けた。責任を取って日馬富士は引退し、事件の後遺症ともいえる一連の騒動で元貴乃花親方は退職、部屋も消滅した。殴られた痛みや暴力事件の怖さを誰よりも知っているはずなのに、それでも殴った。根底にあるのは付け人との主従関係。もっと言えばお金の面倒を見てやっているのだからパシリをするのは当然…という意識だろう。
力士の給与が月給制になったのは昭和32(1957)年の5月。もう61年も前の話だ。幕下以下に給与を支払わない制度は「強い者だけがのし上がる」テコの原理にはなったかもしれない。しかし、当時より格段にコンプライアンスが厳しくなった今の世の中ではどうだろう。幕下以下にもある程度の財力を与えないと、関取衆から「小間使い」の意識は払拭できないのではないか。(特別記者 植村徹也)
例によって、
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情報元ご確認の際は、
お手数ですが記事タイトルと日時で
産経新聞から検索して下さい。
ポイントと感じる箇所は
赤い太字にさせていただきました。
雷電タメコさんの反論
この記事を読んで、
私はなるほど、それも一理あるな、
と思いました。
でも相撲ライターの
雷電タメコさん(佐藤祥子さん)は
大激怒!
このようにおっしゃっていました。
なんだよ、この文末の「特別記者」って肩書きはっ? 相撲担当じゃないんだろうな。ここは金うんぬんの問題じゃない。まず「お小遣い」ではなく、対価としての「骨折り」との言葉も知らずに安易に記事を垂れ流すなー。激オコ タメコ シワ フエル。https://t.co/jNcJ40AWRP
— 雷電タメコ (@RaidenTameko) December 11, 2018
これを見て、
私はまたまた頷く。
言われてみれば確かにそうだ!
養ってやってるんだから好きにしていい、
なんて理屈がまかり通るなら、
雇用主は労働者の人権を好きなだけ
蹂躙していいことになってしまいます。
親は子供を好きなだけ殴って
いいことになってしまいます。
正式な「お給料」という形ではないにせよ、
働いた分の対価には違いないですもんね。
この記事のまずいところ
この記事のまずいところは、
働いた分の対価を「お小遣い」と
表記しているところだと思います。
ちゃんと働いてもらったお金なのに、
さも好意で一方的に養ってやってる
かのように書き立てるのは、失礼ですよね。
「骨折り」という言葉を
知らなかったにせよ、
関取が付け人をただで養ってやっている、
という発想がまずいです。
お金の問題に触れるなら、
「骨折り」という概念も知ったうえで
記事にしてほしかったです。
(私も「骨折り」という言葉は
初めて知りましたが)
それでも一理あると感じるところ
それでもお金の問題では
まるっきりないかと言われれば、
そうではないように思えます。
正論を言えば、
タメコさんの言うように
そういう問題じゃないと思います。
お金の問題ではなく、
意識も問題だと思います。
でも実際、どんな場合でも得てして、
お金を出している方が立場が強くなります。
聖書にも
「借りるものは貸す者の奴隷となる」
とありますが、
雇用主と労働者の関係にしても、
客と従業員の関係にしても、
お金を出している方が強くなりがちです。
本来は働いた分の対価を出しているのだから
立場は対等なはずです。
サービスに対する対価を出しているのだから
立場は対等なはずです。
でも実際には、
お金を出している方が理不尽な要求をし、
まかり通ってしまうケースが多いです。
お金を出しているだけで偉いんだと
勘違いする輩が多いです。
一方でもらう側は、
「お金をもらっているんだから……」と
引け目を感じ、
対価以上の要求にも応じてしまいがちです。
貴ノ岩の暴力事件が
「お金」に対する意識から
起きたものかは分かりません。
でも、一般社会でも起こっていることです。
いい悪いは別にして、
角界の関取と付け人の間で
そのような錯覚に陥ることがあっても
おかしくないのではないでしょうか?
幕下以下の力士にも最低限生活できる
会社員並みのお給料を払う、という案自体は
一理あるように思えます。
相撲界の暴力根絶に向けて
以上、産経新聞のコラムを読んで
賛同出来た点とまずいと感じた点を
語ってみました。
「お小遣い」という言い方は
働いた分の対価なのに失礼と感じますが、
「幕下以下の力士にも
会社員並みのお給料を出すべき」
という考え自体には、私は賛同出来ます。
感じ方は人それぞれなので、
あくまでも私の感じたことです。
もっと相撲界の実情に詳しい人から見たら、
現実に即していない部分も
あるかもしれません。
ただ相撲界の暴力根絶に向けて、
みんなが一丸となって歩んでいければ
いいなと思います。
ペパーミントあいがお届けいたしました。